ギターは高ければ高いほどいい音なのでしょうか?
そういうわけではないと思います。しかし、高額な値段がついているのは必ず理由があって価格設定がされています。商品価値は音の良さだけではない、それだけです。
ギターの価格は何で決まる?
1.材料(木材・その他パーツなど)
材料コストが高ければ高いほどもちろんギターの金額にも影響します。
なかなか採れなくて需要のある木材のほうが値段が高くなるのは当たり前のことです。木材はギターやベースにだけ使われるものはなく、家具に使われたりするものもあります。
コストが高い物から音がよくなるものでもないです。例えば、エボニー指板とリッチライト指板はコストはリッチライトの方が安いですが、正直弾き比べても音はそんなに変わらなかったです。
ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)なんて滅茶苦茶高いですしね。これが採用されているギターは市場でも他の同じモデルと比べてもべらぼうに高くなります。
その他大きく影響を受けるパーツはピックアップでしょうか。ハンドメイドの品質の良い物はやはり高いですね。
2.誰が使っているのか
人気のプレイヤーが使っているギターは見ているとやっぱり欲しくなります。使われてこなかったものが突然ブームになることもあります。ジミ・ヘンドリクスはストラトキャスターの人気に火をつけましたし、ジミー・ペイジはレスポールの人気にかなり影響出てますよね。
シグネイチャーモデルが度々販売されますが、それもプレイヤーのブランド代を上乗せした価格設定にされていますしね。
3.球数の多さ
品質が良い物は量産できません。職人さんが手作業で作成しています。
高額でたくさん売れるモデルであったとしても、大量生産してしまうとその商品価値は落ちてしまいます。一流のギターブランド(Fender、Gibson、PRS等)はどのくらいの需要があるのか市場調査を行って作成する数を絞って値段設定しています。
マスタービルダー物はよくオーダー待ちが何年も先のケースがありますが、私の推測ですが職人が本気を出せばある程度の数は作れると思います。材料の確保、品質の維持、ブランド価値の維持のために作成する本数を絞っているのではないかと思います。
ハイエンドモデルを大量に並べてしまって値段が下がるとレギュラーモデルが売れなくなっちゃいますよね?
ギター界のストラディバリウス、レスポールバーストは当時はそんなに売れなかったようで数が作られていません。その後のギターヒーローによってレスポールが人気になり、あの価格になったのです。たくさんあったら異常な価格で取引はされていなかったでしょう。
4.ブランド価値
人気ブランドはやはりそれなりの値段しますね。一流ブランドメーカー(Fender、Gibson、PRS等)は価格がものすごく安定していますね。中古市場でもとんでもなく値崩れすることはそんなにないです。
個人工房の人気してないメーカーのギターは手放すときにほとんど値が付かないことが多いです。
職人さんが手間暇かけて作って品質良くてそれなりにいい値段で販売されているものであってもです。
セカンドオーナー以降は市場価値も気にして購入されている方がやっぱり多いってことですね。
手放す時にも価値が付く人気ブランドのギターは中古市場でもやっぱり人気ですね。
5.製作工程・ビルダーが誰か
製作に手間・時間がかかるものはもちろんですが人件費が増大します。ハイレベルな職人さんを動かす人件費も馬鹿にならないです。最上級クラスの物になると良質な木の中からさらに良いものを選定したりします(FenderのMBS、Gibsonのハンドセレクト等)。
パートのおばちゃんが作ってるようなレギュラーラインとは訳が違います。当たり前ですね。
Fenderのマスタービルダーの中でも市場価格が高いビルダーがいます(ジョンイングリッシュ・ジョンクルーズ等)。
良い物を作ると信頼されているビルダーの製品にはネームバリュー分の価格が乗りますね。
該当の職人さん本人が作っていないのにも関わらず、その人が品質チェックしただけのギターでも値段が高騰していたりします。
(例:John Cruzスタンプ)
6.品質の良さ
品質の良い物はやはり弾きやすいし使いやすいです。音詰まりも気にならないですし鳴りもいいですね。チューニングも比較的安定します。
電子部品のはんだ付けやネックとボディの接合等も非常に丁寧な作りになっています。
7.新品か中古か
非常にシンプルなんですけどこれとても大切です。
店頭で新品で買った瞬間からそのギターの市場価格は40~60%ほどに落ち込みます。店頭売却だとさらに落ちます。
どうしても新品じゃなきゃ嫌だ!このギターの音がどうしても欲しい!このデザインが一番カッコイイ!
等の理由がある場合は買う価値があるかと思いますが、中古でもいつでもどこでもすぐ入手できるようなモデルを新品で買う必要性はあるのか疑問です。
結局いくらの価格帯の物が良いのか
極論なんですが、人それぞれですよね。予算も人それぞれバラバラなんでどのくらい金を積めば納得できるかなんてわかりません。
値段が上がってくるにつれて品質・音の良さの変動率は小さくなってきます。
例えば、FenderのTBC物が80~90点だとするとMBS物は90~99点くらいの音だと思っているんですが、値段は倍近く変わってきます。
この数点のために何十万も突っ込む価値があるかどうかなんて個人の判断としか言いようがないですよね。
よく、10~20万くらいので十分、30万以上は音の好みだ!とか値段で判断される方がいますが、その考えは私は非常に危険だと思っています。
それ以上の金額で品質の良い物を弾けばやはり音は良くなるなと感じます。それ以上金額を突っ込む価値が感じられるかどうかです。
ギターの品質としての天井は有名ギターブランドのフラグシップモデル(Gibson,Fenderのカスタムショップ製、PRSのプライベートストック等)で、それ以上の値段がついてるギターは品質ではなく別の何らかの付加価値がついてその値段になっているかと思います。
後、個体差についてですが、良個体であってもそのモデルの上位のクラスの境界線を越えてくることはほぼないかなと思います。
そういったものを作ってしまうと上位ランクのギターが売れなくなってしまいますよね。
メーカーはちゃんと念入りに価格設定を行っています。
安いギターでもプレイヤー次第でいい音出せる?
その通りだと思います。当たり前です。弘法筆を選ばずです。
よくプロの○○は安いギターでもいい音出すから練習さえしてればいいとおっしゃる方が度々います。煽るわけではないのですが
いや、あなたは弘法大師のような達人なのか?プロミュージシャンを馬鹿にし過ぎじゃ?
と思います。
達人の音作りは計算し尽くされています。安いから使うのではなく、その楽器の音がどうしても欲しいから使っているだけです。
別の曲をプレイするときは普通に高い物持ってきたりもします。
ジミーペイジだって普段はレスポールバーストを使っていますが、Kashmirを演奏するときはダンエレクトロを使います。
理由があっての事です。
その道で飯が食えるレベルの達人(メジャーデビューしている、スタジオミュージシャン、音楽講師等)であればそれでいいのですが、そうでないのであれば筆を選んでも良いのではないかと思います。
ライブを観に来たお客さんからしたらギターが安かろうが高かろうがどうでもいいです、出た音がすべてです。
可能な限り良い物使うに越したことはないです。もちろんですが、下手の道具調べにならないように練習は必須ですけどね。
じゃあ何使えばいいんだ!!
結局のところこれです
好きなもん使え!!!
です。
安かろうが悪かろうが、ちゃんと弾いてみて値段と照らし合わせて考えることが重要です。
ギターの金額には必ず理由がある。それを理解しておいた上で自分が本当に欲しいものを選定してほしいと思います。
それが音に価値がついてるのか、デザインなのか、希少性なのか・・・・。お金を出す価値がある!と判断できる物であればきっと後悔をする買い物はしないでしょう。