BOSS(ボス) FZ-1W Fuzz 技 WAZA CRAFTをレビューします。TB-2Wの開発をきっかけにヴィンテージペダルの解析を徹底的に行い、完成されたファズペダルです。
特徴
BOSS(ボス) FZ-1W Fuzz 技 WAZA CRAFTです。
TB-2W Tone Benderの開発時に様々なヴィンテージファズを徹底的に解析されたノウハウを使って完成されたオリジナルファズです。
TB-2W Tone Benderが限定販売のモデル(パーツの確保が困難だったからでしょうか)で世界で3000台しかなく、それも即完売し、プレミア価格となってしまった事件がありました。
手が届かないレベルのあり得ない額になってしまったので、すぐにこういったペダルを販売してくるBOSSは流石ですよね。
通常販売なのでプレミア価格にもならないでしょうし、とてもありがたいですよね。
型番は特別なモデルのみに採用するスペシャル・ナンバーの“1”が採用されています。BOSSの自信が感じられます。
エフェクターのつまみについて
LEVEL:エフェクトの音量を調整します。左に回し切ると音が出なくなります。
TONE:エフェクト音の明るさを調整します。
FUZZ:ファズの歪み量を調整します。
これに加えて、中央部にモードスイッチが搭載されています。
V→ヴィンテージモードです。60年代のファズを意識したヴィンテージファズサウンドです。
M→モダンモードです。ゲインが高く、ファットでスムースな新世代ファズサウンドです。
エフェクターの音作りについて
ヴィンテージモードでは昔ながらのブリブリ・ブチブチとした断続的に途切れたような音のファズサウンド
モダンモードでは分厚い壁のが立ちはだかっているかのような轟音ファズサウンド
となります。音色としてはやはりトーンベンダー系ですね。本質的には変わらない感じです。
ですが、2種のモードは全く別の音となり、使い勝手も全然違ってきます。
ヴィンテージモード
ゲインを絞っていくと、クランチ程度まで追い込めますが、同時にトーンもモコモコとしてきて奥に引っ込んだような音になります。
エフェクター側のゲインはフルテンにして音を作っていく方がいいですね。
ノイズが割と多く乗ってきますね。ヴィンテージの再現のため、わざと乗せてきているといった表現の方がいいかもしれません。
ギター側のボリュームの追従が半端ないです。当方レスポールで試奏をしておりますが、エフェクター側のゲインはフルテンでギター側のボリュームを10→1.5くらいまで絞るとクリーンサウンドまできっちり追い込んでいけます。所謂鈴鳴りサウンドといった奴ですね。
ギター側のボリュームを5くらいでオーバードライブ、7でディストーション、フルテンでファズといったように、手元だけで歪み量のコントロールができるのはかなり使い勝手が良いです。
ただし、ボリュームを絞っていてもノイズの乗りは気になりますね。ヴィンテージサウンドの再現ってことでこれはしょうがないですね。
ボリュームを絞ることでピッキングの反応も良くなってきます。歪ませた音ではピッキングの反応はかなり鈍くなってきますね。
LEVELのつまみですが、こちらは12時でフラットです。普通はLEVELをコントロールすることで歪み量も変化していくのですが、このペダルは歪み量に影響を及ぼすことなく音量だけが変化していきますね。音量を絞っていてもがっつり歪ませたファズサウンドを作り出すことが可能。レンジも広く、フルテンにすれば爆音ですね。14時くらいで気持ち持ちあがった音量になります。
TONEのつまみですが、こちらも12時でフラットです。これも癖があってトーンをコントロールするというよりかは上げていくことでローカット、下げていくことでハイカットされるようなイメージでしょうか。音の重心が変化するというよりかは、帯域がカットされてスカスカしてくるといった印象。右に振り切るとローが完全にカットされて迫力がなくなったような音に、左に振り切るとハイが完全になくなって地震のような音になります。
FUZZのつまみですが、こちらも12時でフラットです。下げていくとオーバードライブ程度まで歪み量を落とせますが音量下がり、トーンもモコモコとしてきて頼りない感じに。上げていくと音量も上がってどんどんブリブリ・ブチブチとしたファズらしいサウンドになっていきます。フルテンにしてギター側のボリュームで歪み量をコントロールする使い方がスタンダードなのかなと思います。エフェクター側で歪みのコントロールはおすすめできないです。
モダンモード
こちらのモードはパンチがあって迫力が凄まじいですね。
歪ませても音がグシャと潰れることはなく、立体感があって音が前に出てきてくれます。リードギターで俺のソロを聴け!みたいなプレイスタイルの方はこちらを推奨します。
ノイズの乗りが少なく、音の芯を残したままゴリゴリの歪んでいってくれるのでストレスがないですね。
フルテンでコード一発弾くと分厚い壁のような轟音になりますので弾いていて気持ちいいですね。
こちらはヴィンテージモードと違ってボリュームの追従が悪いです。ボリュームを絞っていってもオーバードライブ程度までは歪みます。クリーンサウンドまでは追い込めません。
LEVELのつまみですが、こちらは12時でフラットです。こちらもヴィンテージモードとほとんど使い勝手は変わらないですが、こちらの方がややレンジが広い印象。もう少し音量が稼げますね。
TONEのつまみですが、こちらも12時でフラットです。こちらのモードだと特に癖がなく、素直に音の重心が移動していくようなイメージですね。使い勝手がいいトーンのつまみです。
FUZZのつまみですが、こちらも12時でフラットです。ヴィンテージモードと変わらない使い勝手です。挙動については割愛します。
総評
ヴィンテージモードではブリブリ・ブチブチ・バリバリとした質感の断続的なファズサウンド、モダンモードでは分厚い壁のような轟音ファズサウンドです。
どちらのモードも使い道があって良いですね。とにかくうるさい轟音・爆音のファズサウンドを作りたければモダンモード、ギター側のボリュームで歪み量をコントロールし、鈴鳴りクリーンサウンドからブチブチのファズまで多彩な音を作りたければヴィンテージモードといった具合でしょうか。
それぞれに特化し、これよりも優れたファズペダルは確かに存在しますが、一台で完結するのはなかなかないのかなと思います。
かなり守備範囲が広いファズペダルですね。ファズ入門編には持ってこいのペダルです。
BOSSから
「とりあえずファズはこれ使っとけばいいんよ」
って言いながらポンって渡されたようなペダル笑 BOSSっちゃBOSSらしいペダルです。
TB-2Wを使ったことがないので何とも言えないですが、無理してTB-2Wを買わなくても正直これで満足なんじゃないのかなって思ってしまいました。
これでいいんだよ的なペダルを作らせたら右に出るものはいないですね。