Peace Hill FX TRJM Tube Preampをレビューします。「J・M」が使用するブティックアンプ「T・R」の氏自身のシグネチャーモデルのサウンドを意識したモデルのプリアンプです。
特徴
Peace Hill FXの上位モデルのプリアンプ、TRJM Tube Preampです。最近、少しずつ口コミで話題になっているプリアンプです。
Peace Hill FXとは
大阪市箕面市に拠点を構えるエフェクターブランドです。
2018年から始まったエフェクターブランドなのでまだまだ若いメーカーです。
ビルダー自身もプレイヤーでインディバンド・Pictured Resortで活動されています。”マイアンプを気軽に持ち運べないなどの日本の音楽環境”の双方にマッチするペダルを作りたい、という考えからブランドが始動しています。
このブランドではハイエンドパーツやヴィンテージパーツを主要部分に使用され、ハンドメイドで1台ずつ丁寧に製作されております。
ヴィンテージパーツの確保が困難なため、1台ごとに使用されるパーツが異なっています。
この性質上、均一の製品が製作されることはないですが、パーツの選定はちゃんと厳格に行っているので、一定の基準を達した個体のみが製品となっているので安心です。
TRJM Tube Preampについて
「J・M」が使用するブティックアンプ「T・R」の氏自身のシグネチャーモデルのサウンドを意識したモデルのプリアンプとのこと。
つまり現代の世界三大ギタリストJohn Mayer(ジョンメイヤー)が使用するTwo Rockのアンプをモチーフとして製作されています。
このプリアンプはちゃんと真空管が搭載されているので、音もしっかりチューブアンプです。 12AX7の真空管が使われていて、これの系統の7025、5751に交換することも可能です。
エフェクトON・OFFのスイッチはなく、これを通すともうプリアンプとして使用されてしまいます。 ですので、使用するときはリターン端子に接続するのが推奨です。
つまみは左からGAIN、TREBLE、MIDDLE、BASS、MASTER VOLUMEとなっています。 ミニスイッチは左からブライトブースト、ミドルブースト、ベースブーストスイッチになっています。
電源は9V~12Vのセンターマイナスで稼働します。メーカーの推奨は12Vです。
エフェクターの音作りについて
クリーントーンがとても美しく、音にパンチにあるプリアンプです。
音の系統はフェンダー系ですね。そもそも、Two Rockがそんな感じなのでまあ当たり前と言えば当たり前ですが。
まず、音のレスポンスが異様に早く、ピッキングニュアンスも凄く反応が良い。強く弾けば歪んでロックな音になりますし、優しく弾けば美しいクリーントーンになります。
プレイヤーの技術が露骨に出るタイプのプリアンプですね。滅茶苦茶反応がシビアです。これを使って弾くのがちょっと緊張して怖い笑
音もパンチがあってスコーンと飛んでくる感じです。
ミッドローの主張が激しく、かなりウォームなサウンドになります。鋭くジャキジャキというより、丸くファットな音ですね。
GAINのつまみは10時くらいでフラットでしょうか。9時くらいまではクリーントーンが維持されますが、ここを超えてくると徐々に歪んでくる感じです。歪み方がフェンダーのデラリバとかツインリバーブみたいな感じです。
GAINを上げるとローも持ち上がってきてファットな音になります。
TREBLEのつまみは12時でフラットで均一にコントロールできます。ただ、TREBLEだけ音量まで変動します。これを上げると全体の音量も増幅されていくというちょっと癖のあるつまみ笑
レンジ幅はそこまで広くないですね。ミッドローが主張された中でハイが持ち上がってくる、そんなイメージです。MAXにしても全然キンキンしないです。それでもローの主張が強いくらいです。
MIDDLEのつまみも12時でフラットです。こちらも均一にコントロールできます。レンジ幅はさらに狭く、かなり微量に変化していきます。MAXにしても同じくキャンキャンしない笑
BASSのつまみも12時でフラットです。同様に均一にコントロールできます。レンジ幅は同じくかなり狭い。そもそもがローの主張が激しいのでそこまで足したいと思うこともないんで困ることはないですが。
VOLUMEですが、これは使用するパワーアンプに依存します。JC-120では12時くらいでフラットでしたし、マーシャルJCM2000では9時くらいでフラットです。強いパワーアンプを使うと限りなく爆音にできます。ヘッドルームの余裕が凄いですね。
各種ブーストスイッチですが、その音域をブーストするのはいいんですけど、若干歪みも足されるので、ONのしすぎは注意が必要ですね。
9Vの500mAの出力で運用してみましたが、なんか頼りない音が出ます。最初、壊れてるのかな?と思いましたが12Vの電源アダプターで運用すると本領発揮しました。
最近発売されたフリーザトーンの電源アダプターがベストではないかと思います。
12Vのセンターマイナスの電源アダプターの数が少なすぎて探し出すのに苦労しました。
JC-120とマーシャルJCM2000で弾き比べてみましたが、マーシャルの方が音にパンチがあって歪みっぽくなく、ヘッドルームにも余裕がある感じがしましたね。
JC-120だと若干歪みっぽいです。JC対策としてプリアンプ購入検討される方が大半なのかなと思いますけど、正直マーシャルで運用したほうがハマると思います。
ただ、私はマーシャルの電源ケーブルがスーパーハイエンド電源ケーブルなので、それの影響もあるかもしれませんが・・・。これを使っています。
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トーンコントロールのレンジ幅が思ったより狭くて、帯域の調整はブーストスイッチを活用していかないと難しいのかなと思います。
なんにしてもミッドローの主張がとにかく強いです。ギターそのものがローの出るギターだと籠った音になってしまいます。ハイファイなギターで運用するとハマると思いますので、その点は注意ですね。
総評
極上のクリーントーンかつ音圧感もあるプリアンプだなと思います。ただ、音の帯域はミッドローよりでウォームでファットな音となります。
音質は間違いなく強烈なインパクトがありますが、音作りの幅はハイの音が出せず、結構決め打ちになるというかなり尖った性能をしております笑
ローが出るギターより、ハイファイなギターを採用することをおすすめします。
どこに持って行っても安定してこの音になるので、この音にハマれば心強いプリアンプかなと思います。
好きじゃない人は好きじゃない、好きな人はとことん好きになる、そんなプリアンプですね。
これにしかできないけど、これがとんでもなく良い。そういうエフェクターが好みな人はご購入してみると面白いかもです。
幅広いサウンド作りがしたい人にはとことん向かないイメージです。
後、最近結構人気になってきている上にタマ数が非常に少ないプリアンプです。入荷したら即完売の状態なので入手困難となっています。
ハイエンド・ヴィンテージパーツが使われているので大量生産されることもないので、気長に探してみてください。