CULT Rayをレビューします。CULT初のオリジナルオーバードライブペダルとなります。
特徴
CULT Rayです。
数々のレアなエフェクターを販売しているPEDAL SHOP CULTは有名ですよね。
そのCULTが初めてオリジナルオーバードライブペダルを開発し、販売を始めました。
既にカテゴライズされているサウンドキャラクターを目指しておらず、Ray = 光線 という言葉のイメージに合致する、繊細さと力強さを兼ね備えたドライブサウンドを作ることを目的とされています。
回路のコンセプトとしては「音楽的な歪みを生み出す素子をリニアにドライブさせる」、「ドライブサウンドに大きく干渉しない、しかし絶妙であり補完的なトーンコントローラーの装備」とされており、開発には妥協もなく、使用される電子部品も一切の妥協なく選定されているとのこと。
デザインもつまみはオリジナルの物を採用。ケースに入れた際に予めセッティングしていたものと異なっているトラブルを防いだり、レコーディングやライブ使用時でのコントロールの誤動作を防ぐために突起がないつまみが採用されています。
ケースの素材には軽量、高強度の合金“超々ジュラルミン”を採用がされており、すべての筐体は超々ジュラルミン素材から高い精度で削り出して作られ、緻密を極める内部構造も高い強度を保ったまま再現が可能とのこと。
材料もかなりお金かけてそうですよね。見た目からして高級感が凄いです。プレイヤー視点からの拘ったデザインもGOODです。
大きさ:72mm(W) 144m(D) 46mm(H) ※突起含まず 重さ:515g
とされているんですが、思ったよりこれデカくてちょっと衝撃を受けました。そして重量感もある。
滅茶苦茶分厚いんですよね。なかなかの高さがある。
エフェクターボードに乗せてみるとこんな感じ。他のエフェクターよりも明らかに一回りデカい。
故に並べてボードに乗せにくい。Motherよりも奥行きデカい気がする・・・・。
裏はシリアルナンバーではなく、製造した日付が記載されています。この日数の5年間は無償修理となっております。
嬉しいことにこれはセカンドオーナーでも有効。
最近のエフェクターはセカンドオーナーからは無償修理無効なメーカーが多いのでこれはありがたいです。
そのくらい耐久性に自信があるってことなのでしょう。
DC9V~18Vのセンターマイナスで動作します。通常は9Vで運用することとなりますが、18Vになるとどうなるのか気になりますね。
そして電池稼働はせず、外部のアダプターやパワーサプライで運用することになります。高いエフェクターによくある内部にコントロールがあるパターンでもないので、裏のパネルは開けないでねとの注意書きがあります。
こういう所でも故障の原因のケアをしているのは面白いですね。
エフェクターのコントロールについて
Volume:音量を調整します。ブースターとしての用途を考え、最大音量は一般的なオーバードライブ・ペダル以上となっています。
Drive:歪み量を調整します。必要な歪み量はカバーしつつも最小値ではクリーンサウンドとなり、ブースターとしての使用も可能です
Bass:低音域の中でも限定的な帯域を増減します。弛みや破綻のない太さを再現し、歪みの質感にも大きく干渉しません。
Treble:高音域を増減します。あえて広い範囲で高域をフィルタリングし、多くのサウンドバリエーションを作ります。
エフェクターの音作りについて
透き通るような美しいクランチサウンドからパンチのある攻撃性の高いオーバードライブまで守備範囲の広いペダルです。
このペダルは凄いですね。久々に衝撃を受けました。
解像度が滅茶苦茶高く、どんなフレーズを弾いていてもクリアに聴こえてきます。
これは歪みをがっつり上げたとしても一切潰れることはなく、明瞭に聴こえます。
故にミスピッキングをすると全部バレます笑
弾いたものを綺麗に出力してくれます。いい意味でも悪い意味でも。ゲインを上げて誤魔化そうとしても逃げられません。
完全に歪ませてるのにクリアなんですよ。本当に独特。
ゲインを絞り切るとクリーンサウンドにほんの少し押し出したようなサウンドから透き通るような綺麗なクランチサウンド、弾いていて心地よいちょうどいい歪み量のオーバードライブからパンチの強い攻撃力の高いオーバードライブまで様々なサウンドが作れます。
よくあるトランスペアレント系の歪まない系なのかな?と思っていたんですがいい意味で裏切ってくれましたね。
がっつり歪ませられます。フルテンにするとケンタウルス系のようなパンチのあるサウンドにも仕上がります。
そしてレスポンスが異様に早い。弾いた瞬間に音が飛んでくるのでストレスフリーですね。
音のダイナミクスレンジも滅茶苦茶広い。ピッキング一つで音の表情を様々に変化させられます。
強く弾けばアタック感が強い攻撃的なサウンド、弱く弾けばクリアで優しい音、多種多様ですね。
コンプ感はそんなにない印象。本当に必要最小限ですね。
音のキャラクターとしてはモダンなサウンド。今風のエフェクター!って感じがします。ヴィンテージ感のある音とは一切違います。
原音重視の音ですね。クリーンの音作りからやらかしていると良くはならないです。濁ったクリーンサウンドにそのまま歪みが乗ってくる感じですかね。原音を上書きする感じではないので、ここでも誤魔化せません。
主に中高域に軸が置かれたサウンドです。バンドアンサンブルに埋もれることなく、綺麗に抜けてくれることでしょう。
これ使って抜けなかったら本人のピッキングが悪いと確実に言えます笑
かなり音の主張が強いので、バッキングギターに使うとちょっと浮いちゃうかも。聴かせるリードギターで採用したいですね。
18Vの運用はどうなの?
正直、大きな変化は感じられませんでした。
少し音が丸くなったような印象になります。攻撃的で無くなったというか。
超高域がカットされたようなイメージですかね。聴いていて心地よいサウンドに仕上がります。
パンチのあるギターサウンドではなく、ちょっとマイルドに仕上がるって感じでしょうか。
Volumeのつまみですが、11時でフラットです。12時でバイパス時から少し持ち上がった音になりますね。そこから緩やかに音量が増していき、フルテンにすると爆音になります。ゲインを切ってクリーンブースターとしても運用できそうですね。滅茶苦茶贅沢な使い方ですが。
MINにすると音が完全に消えます。10時くらいでバイパス時よりほんのり引っ込んだような音量になります。
DRIVEのつまみですが、こちらは10時でフラットです。MINにするとほぼクリーンサウンドとなり、8時~9時でクリアで透き通るように綺麗なクランチサウンドが作れます。10時~11時で急激に歪むようになり、ここからオーバードライブサウンドとなります。11時以降は緩やかに歪み量が増していき、どんどんパンチのあるサウンドに仕上がっていきます。フルテンにするとディストーションとまではいかないものの、オーバードライブペダルとしては十分な歪み量まで足せますね。
さすがにフルテンにするとちょっとノイズが目立つようになります。そのくらい歪ませられるっていう証拠ですね。
BASSのつまみですが、こちらは11時でフラットです。こちらも10時~11時で急激に音が変化します。10時より下げるとローがカットされる上に輪郭までなくなるイメージです。11時以降は緩やかにローが足されていくのですが、それに合わせて中域も押し出されるような印象。
今までのようなエフェクターのトーンコントロールではないですね。滅茶苦茶癖があります。何とも言えない独特な周波数帯域をコントロールすることができます。トーンレンジはそこまで広くない印象。
TREBLEのつまみですが、こちらも11時でフラットです。これも10時~11時付近で急激に音が変化します。同じ癖ですね。
10時より下げるとモコモコとしたサウンドに、12時の段階でほんのりブライトなサウンドです。14時にすると攻撃的な高域の効いたサウンド、フルテンにするとキンキンですね。
BASSと違ってTREBLEのトーンレンジは広いです。
各つまみは全部癖強いですね。最初はちょっと取っつきにくいかも。
総評
透き通るような美しいクランチから攻撃的でパワフルなオーバードライブまで幅広いサウンドが作れます。
ゲインを最小にするとほとんどクリーンサウンドになるため、そこからVolumeを上げてクリーンブースターとしての運用もありです。
正直ちょっと勿体ない使い方な気もしますけどね。
トランスペアレント系はもうありふれている環境にあるので、これはやっぱり歪ませてナンボかなと思いますね。
特徴をまとめるとこんな感じですかね。
音色は原音重視で音の上書きはしないタイプ。故にクリーンから拘らないと濁ったような音に
ゲインレンジはオーバードライブペダルとしてはそれなりに広く、幅広い守備範囲
各種コントロールの癖はかなり強く、最初は取っつきにくい
レスポンスは爆速、ダイナミクスレンジもかなり広く、ピッキングニュアンスで様々な表情になる
デカい
いい意味でも悪い意味でも弾いた音を素直に出力してくれます。
ピッキング一つでどんな音にでもなるので、ずっと弾いてられますし飽きない音です。
初心者向けというよりは玄人向けですね。誤魔化しが一切効かないので弾いていて緊張します笑
後は思ったよりデカいですね。今使っている歪みペダルと交換しようか!と思ってもサイズが合わず、他のペダルも犠牲にしないと乗せられないかも。
それでも最近買ったペダルの中ではトップクラスに優秀だと思います。値段相応の音といった感じですね。