Ibanez VEMURAM TSV808が猛威を振るっている中、颯爽と現れたAltero Custom Guitars KAEDE -楓- キダ モティフォ シグネチャー。
ある動画でこの二つが比較されていましたが、どれだけ近いサウンドであるのか実際2つ用意して徹底比較してみました。
TSV808と楓って?
Ibanez VEMURAM TSV808
TSV808は定番オーバードライブペダルであるIbanez “Tube Screamer” + Vemuram “Jan Ray” の両者のコラボレーションという夢のようなペダルです。
TubescreamerとJan Rayとのマージ(結合)が開発コンセプトのオーバードライブ。TSの特徴的なミッド・ブーストと、Jan Rayの広いダイナミック・レンジと周波数レンジを併せ持つサウンドを求め開発された、Tube Screamerの名前を持つ別次元のオーバードライブです。
両者のいい所取りした贅沢なオーバードライブペダルです。
ケースは重量感のある真鍮が採用し、外部からのノイズの影響を受けにくくしています。 PCBの信号・電源が通る銅箔の厚みは一般的な35μmの2倍の70μm。外来ノイズのシャットアウトと共に、音質そのものの向上に貢献します。
また各部パーツは両エンジニアが選別したハイエンド・パーツを使用しています。
凄まじい気合の入れ方です。
つまみはOVERDRIVE(GAIN)、TONE、LEVEL(VOLUME)の3つです。 それに加えてペダルの上にサチュレーションとBASSのトリマーがあります。
内部にはダイオード・クリッピング・セレクターが内蔵されております。4種類の歪み方を選べるようになっています。
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Altero Custom Guitars KAEDE -楓- キダ モティフォ シグネチャー
Altero Custom Guitarsがサウンドプロデュース、監修を行い、KarDiaNのメインデザイナー”Toshikazu Kitada氏”が設計、デザインを担当した、滋賀の両傑によるペダルブランドのオーバードライブペダルです。
「ギター本来の鳴りを活かす」を焦点に、それを支える形で設計が行われています。
KAEDEの製作には世界で活躍するマスロックバンド「tricot」のキダ モティフォをサウンドチームに加え、彼女のライブ&レコーディング機材の製作を目的に開発されました。 彼女のギターの特徴といえばリアピックアップを取っ払ったセンターとフロントのみにピックアップが搭載されたギターです。そういった彼女のこだわりを叶えるギターを生み出すAltero Custom Guitarsが、今度はこだわりのペダルを手掛けることになりました。
つまみはVolume、GAIN、BASS、TREBLEのスタンダードなコントロールに加えて、HEADROOMのトグルスイッチがあります。
こちらではH (High)、M (Mid)、L (Low)の3種類のドライブサウンドのピークレベルを調整することができます。 Hでヘッドルームの高い開放感のあるブースターサウンド、Mで基準のヘッドルームのバランスとなり、Lで一番コンプレッション感のあるドライブサウンドとなります。
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エフェクター弾き比べ
TSV808のサウンド
音が非常に美しく綺麗でかつ、しっかり歪ませられて音に芯があり太いサウンドです。音圧もあり、しっかり音が押し出されてブーストもしてくれます。
非常にノイズレスで、クリアな音質です。一切の音の濁りが感じられないです。音抜けも抜群によく、埋もれることはないですね。
王道ど真ん中の優れたオーバードライブサウンドですね。
Jan Rayのようなスコーン!と抜けてくるサウンドとTS808のような真空管をドライブさせたようなウォームで暖かみのあるサウンド両方合わさっています。
しかし、この二つを直列で並べて音を出してもこんなサウンドにはならないです。全くの別物の新しいオーバードライブサウンド。
割としっかり歪ませられるので、Jan Rayの時に感じられた「もう少し歪みがほしいな」といった悩みも解決されています。
TS808にあった独特の音の曇りもなく、非常にクリアに仕上げられています。
音の帯域のバランスが非常に良いですね。落ち着いてて音が暴れることはなく、優等生なサウンドです。
各種コントロールのつまみが豊富で音作りの幅は滅茶苦茶広いです。
KAEDE -楓-のサウンド
音の分離、音圧、音抜け、どれを取っても抜群のトーンになるTS系のオーバードライブペダルですね。ピッキングニュアンスでの表情の変化も凄まじいです。
ローノイズで非常に綺麗なサウンドです。音の曇り・モヤが感じられないです。
もちろん、ヘッドルームをLにすると籠らせたようなサウンドを作ることも可能ですが。
このペダルそのものの音の重心がミッドハイにいるため、かなり軽快な音に感じられます。
TSV808とKAEDEの比較
音の傾向としては非常に似ています。似てはいるんですがやはり別物のサウンドには違いないです。それぞれ別のキャラクターの音を持っています。
TSV808の方がしっとりとしていて重厚感のあるサウンドになっています。それに対してKAEDEはドライで軽快なサウンドです。
歪ませてジャーンとコードを鳴らした際、TSV808は奥行きがあって心地よい音になりますが、KAEDEはちょっとエッジがあって攻撃的な感じですかね。
TSV808はトーンを上げていっても音が暴れず、落ち着いたイメージです。KAEDEはトーンを上げるとジャリジャリしてきて高域が暴れてきますね。
TSV808は内部のダイオード・クリッピング・セレクターを両方ONにして一番コンプレッションがかかった時で設定、KAEDEはトグルスイッチをHにして一番コンプレッションがかからない状態にしていますが、この時の音が一番近かったです。
つまり、TSV808はスイッチOFFにするとまだダイナミクスレンジを広げられるんですよね。どこまで広いねん笑
一方、KAEDEはもうすでにHEADROOMスイッチHにしているのでここで天井を迎えることになります。
スイッチHにすると歪み量がそこまで上げられないので、Mに切り替えて歪み量を足すとちょっとコンプがかかるようになってしまいます。
TSV808は音質はそのままにサチュレーションのトリマーでGAINの効きを調整できますので、歪み量も問題なくコントロールできます。
ローのコントロールも同様で、KAEDEはストッパーがかかってこれ以上ローを足せない領域があるんですが、TSV808はBASSのトリマーでローを足すことができます。
結局どちらの方が良い?
両方トップクラスのTS系オーバードライブペダルだと思います。
音の音色としては近いにしてもやはり別物のサウンドなので好みで選んでもいいかなと思います。
しかし、TSV808はコントロール・スイッチが豊富で音を作れる守備範囲の広さは滅茶苦茶広いです。
それに対してKAEDEは「もうそれ以上トーン下げる必要ないでしょう?」「それ以上の歪み量必要?」とエフェクターそのものが教えてくれるようなコントロールの効きが魅力的ですね。守備範囲はTSV808に比べると狭いにしても、悪い音になりようがないんですよね。極端に振ろうとするとどこかでストップがかかるんですよ。
TSV808はユーザーの音作りに対しての要望を滅茶苦茶対応してくれるタイプでKAEDEはいい音作はこういうもんだと決め打ちしてくれるようなタイプですね。
個人的な思いをいいますと、やはりTSV808が好きです。もうこれ以上のTS系オーバードライブペダルはないのでは?と思ってしまいます。王道中の王道のサウンドで万能なんですよね。
もちろん、KAEDEも素晴らしいオーバードライブペダルだと思います。
この二つの定価での価格差は約1万円ほどあるので、まあ妥当な価格設定だなと感じました。
ただし、TSV808はもう生産終了品でプレミア価格がついており、手が届かない領域まで値段がハネあがっていますのでKAEDEを選択するのが現実的なのかなと思います。
もしくは別物の音になっちゃいますけど、VEMURAM特有の音が好みなのであればJan Rayになっちゃいますよね。