アンプとキャビネットの裏を見てみると、○○Ωのように数字と単位が書かれてあります。
ギタリスト・ベーシストであれば基本的には知っていると思いますがおさらいしておきましょう。
この記事ではインピーダンスは一体なんなのかを解説します。
インピーダンス【Ω】って何?
インピーダンスとは電気回路等の抵抗のことです。単位はオーム【Ω】となります。この数字が大きければ大きいほど電気は流れにくくなります。学生の頃にオームの法則というフレーズは聞いたことがあるかと思われます。
こういう公式でしたね。Vが電圧、Rが抵抗、Iが電流となります。
インピーダンスの値が大きければ電気信号は流れにくく、値が小さければ流れやすいと言えます。
スピーカーのインピーダンスと音の関係
スピーカーのインピーダンスでの音質の関係性についでですが、実はそんなに関係ないです。スピーカーそのものの性能によります。
インピーダンスはスピーカーの音量に影響してきます。同じアンプを使用すると仮定しますと、スピーカーのインピーダンスは低い方が音量は大きくなります。当然ですよね、電気信号が流れやすくなるのですから。
出力が低いアンプでもスピーカー側のインピーダンスが低い物を選べばそれなりの音量が出せます。
それでは、インピーダンスは低ければ低いほど良いのか?と思われますが、そういうわけでもありません。
インピーダンスが高いメリットは多くのスピーカーを同時に鳴らす際に有効です。というのも、並列(パラレル)繋ぎでスピーカーをつけるときは高インピーダンスのが都合が良いのです。直列(シリーズ)繋ぎの合成インピーダンスは
とシンプルに足し算で計算できるのですが、並列繋ぎでは
こういう計算式になります。
アンプの程よいドライブ感が得られる出力インピーダンスは4~16Ωと言われています。ギターキャビネットに使われているスピーカーのインピーダンスは4~32Ωです。
仮に出力4Ωのアンプに4発スピーカーを並列繋ぎで音を出したいとすると、16Ωのスピーカーを採用すれば良いわけです。
インピーダンスはいくつの物を選べばいいの?
スタジオ・ライブハウスでのキャビネットは基本的にMarshallの1960Aが設置されています。
よくみるこいつですね。こちらはCELESTION G12T-75(16Ω)スピーカー4発搭載、16Ω/4Ωモノラル、8Ωステレオで鳴らすことができます。キャビネットを別で購入しない限りはこれにあったヘッドアンプを選ぶことになります。
1960Aの背面にジャックの差込口があります。正面右側にモノラル16Ωの差込口、左側がモノラル4Ω差込口になります。こちらは4発ともスピーカーが鳴ります。中央のステレオにスイッチを切り替えると8Ωの差込口になり、正面右側に刺すと左の縦2発のスピーカーが鳴り、正面左側に刺すと右側の縦2発のスピーカーが鳴ります。
左縦2発が並列接続で8Ω、右縦2発が並列接続で8Ω、これらを直列接続すると16Ω、並列接続をすると4Ωになるわけですね。図で表すとこうなります。
ヘッドアンプの出力が4Ω・16Ωの物を持ってきていればそれに合うジャックに刺せば困ることはないのですが、小型ヘッドアンプには8Ωのジャックしかなかったりします。
前回レビューしたsuhrのcorsoがそれに該当します。
SuhrのCorsoのレビューはこちらから!
小型アンプヘッド Suhr(サー) corso 5Wのレビューをします。次、裏側の写真です。付属品は電源ケーブルです。3心の物が刺さります。特徴フェンダー社の元マスタービル[…]
この場合は4Ωに刺してしまうとアンプの出力の方が大きくなり、スピーカーの許容範囲を超えてしまい最悪壊れてしまいます。
16Ωに刺すと壊れることなく音はなってくれるのですが、出力が足りないので4発とも鳴り切ってくれないことがあります(少なくともSuhrのCorsoは音量が足りませんでした)。
ステレオに切り替えて8Ωでどちらか縦2発で鳴らしてやると解決できるかもしれません。
スタジオ・ライブハウスではモノラル16Ωの差込口以外塞がっていることが多いです。
これはジャックを間違えて刺すことによりキャビネット・アンプの故障を防ぐための物だと考えられます。
切り替えること前提でヘッドアンプを購入してしまうと痛い目を見るかもしれません。
結論
まとめとしまして、アンプとスピーカーのインピーダンスの関係性を箇条書きしますと
1.インピーダンスは電気回路等の抵抗である
2.インピーダンスの値が大きければ電気信号は流れにくく、小さければ流れやすい
3.インピーダンスは音量に影響する。値が小さければ大きな音量で鳴らせる
4.スピーカーのインピーダンスに合ったアンプの出力インピーダンスを選ぶ
5.スピーカーの許容量よりアンプの出力が強いと最悪機材の故障につながるので注意が必要
キャビネットに合ったアンプを選定しましょう。キャビネットを持ち込まないのであれば必然的に1960Aを使うことになるので16Ωの出力端子があれば安心ですね。