Altero Custom Guitars KAEDE -楓- キダ モティフォ シグネチャー をレビューします。突如現れた新星のこのオーバードライブペダル。最高峰のオーバードライブペダルTSV808に近いサウンドと言われていますが・・・・。
特徴
Altero Custom Guitars KAEDE -楓- キダ モティフォ シグネチャーです。
Altero Custom Guitarsは滋賀県にある主にギター・ベースを制作・リペアしているメーカー・工房となります。
そこから発売された初のエフェクターペダルです。 Altero Custom Guitarsがサウンドプロデュース、監修を行い、KarDiaNのメインデザイナー”Toshikazu Kitada氏”が設計、デザインを担当した、滋賀の両傑によるペダルブランドが誕生しました。
KarDiaNの北田さんが設計されているとなれば過去のペダルを使用した限り、かなり期待できます。一番良かったペダルはTS系のセロトニンですね。
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ペダルブランドを発足した経緯は「ギターメーカーとして、楽器本来のサウンドを一切削ることなく最高の音色を作りたい」という信念が根底にあり、納得のいくギターを作ったとしても、そこから先にあるペダルやアンプ等で目指すサウンドに不足のあるものであってはならないとのこと。
「ギター本来の鳴りを活かす」を焦点に、それを支える形で設計が行われています。そのためギターの音響特性的に有用となる、ローを出来うる限り残し、鳴りとして重要な弦のきらびやかさを活かす点から設計を始めましたが、ペダルにおいてのローやハイは残しすぎると特に増幅回路を使用する場合に不都合が多く、サウンド自体が濁ってしまう可能性がある・・。
そこでKAEDEの製作には世界で活躍するマスロックバンド「tricot」のキダ モティフォをサウンドチームに加え、彼女のライブ&レコーディング機材の製作を目的に開発されました。 彼女のギターの特徴といえばリアピックアップを取っ払ったセンターとフロントのみにピックアップが搭載されたギターです。そういった彼女のこだわりを叶えるギターを生み出すAltero Custom Guitarsが、今度はこだわりのペダルを手掛けることになりました。
デザインはアルミ削り出し筐体を楓色にアルマイトし、表面は高級感のある梨地加工を採用。レーザーによる刻印は高級感だけでなく、ステージでの使用において摩耗しない特性を持ちます。また、このペダルのシグネチャーギタリストであるキダ モティフォのシンボルといえる「甲」の文字を足元のペダルにも刻印しました。
つまみはVolume、GAIN、BASS、TREBLEのスタンダードなコントロールに加えて、HEADROOMのトグルスイッチがあります。
こちらではH (High)、M (Mid)、L (Low)の3種類のドライブサウンドのピークレベルを調整することができます。 Hでヘッドルームの高い開放感のあるブースターサウンド、Mで基準のヘッドルームのバランスとなり、Lで一番コンプレッション感のあるドライブサウンドとなります。
エフェクターの音作りについて
音の分離、音圧、音抜け、どれを取っても抜群のトーンになるオーバードライブペダルですね。ピッキングニュアンスでの表情の変化も凄まじいです。
音色の傾向としてはTS系ですね。TSV808と比較されたのもよくわかるサウンドです。
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TSV808は重厚感があってバランスの良いサウンドとなっていましたが、こちらは軽快なトーンでハイの帯域に特徴のあるサウンドになっていますね。
弾いたときの音圧・アタック感、スコーンと音が飛んで抜けてくる感覚が非常にTSV808に似ているんですよね。
もちろん、全く同じ音だ!とは言いませんが、この存在感のある雰囲気はかなり近い。
ローノイズで非常に綺麗なサウンドです。音の曇り・モヤが感じられないです。
もちろん、ヘッドルームをLにすると籠らせたようなサウンドを作ることも可能ですが。
リアピックアップを使わなくても音抜けが良く仕上がるように調整されているというのも分かります。このペダルそのものの音の重心がミッドハイにいるため、シングルコイルにリアでこれを使うとトレブリーでちょっと耳が痛い仕上がりになるかも・・・・。
ハムバッカーのリアピックアップでこれを使うと滅茶苦茶ハマりますね。ちょうどいい抜け感です。 ヘッドルームのトグルスイッチがこのペダルのキモですね。
HEADROOM トグルスイッチについて
H (High)→音のコンプレッション感が一切なくなり、解放されたようなサウンドになります。ダイナミクスレンジが滅茶苦茶広く、ピッキングニュアンスで音の表情をつけやすくなります。音の分離、音圧も非常に優れていて抜群に音が抜けるようなサウンドです。ローは若干カットされますね。このセッティングにするとTSV808に近いサウンドが得られます。Hで運用される方が大半ではないでしょうか。弾いていて一番気持ちいいセッティングですね。
M (Mid)→若干コンプレッションがかかり、スタンダードなTS系のサウンドとなります。強く弾くとがっつり歪んでくれますし、弱く弾くとクランチサウンドになります。音の帯域のバランスも良い感じです。このセッティングを好む方もいらっしゃると思います。存在感のあるバッキングギターに採用してもいいですし、リードギターとしての運用でもハマってくれます。
L (Low)→一番コンプレッションがかかるオーバードライブサウンドです。音量も若干下がり、歪っぽくなります。その影響でしょうか、ローがやや強くなり音が籠ったようなサウンドに仕上がります。後ろで鳴っているようなバッキングギターに採用できますね。ただ、このセッティングにするならわざわざこのペダルを使う必要がないのでは?とも思います。別でこういったサウンドにふさわしいペダルを買った方がいいですね。
VOLUMEのつまみは14時でフラットです。9時頃まではほとんど音が鳴らず、そこから緩やかに増幅されていきます。12時~14時あたりで音像がはっきりしてくるようになります。音量は爆音とまではいかないものの不満になることはないところまでは出せます。ヘッドルームトグルスイッチHならまあまあうるさい音量です笑
GAINのつまみも14時でフラットですね。こちらも同様に9時頃まではほとんど歪まず、10時くらいからクランチサウンドになります。14時でハリのあるオーバードライブサウンドとなり、MAXにしても「オーバードライブはこのくらいの歪み量まであればいいでしょう?」ってくらいで止まります。
このGAINコントロールは絞ると音圧感、ハリもなくなっていき、上げていくとどんどん圧の強いサウンドに仕上がっていきます。MAXでピークを迎えることになります。
通常、GAINを足しすぎると音がグシャっと潰れていって迫力がなくなり、引っ込んでいくようなサウンドになるんですが、これはそんなことは一切感じられない。音が潰れる手前で踏みとどまってくれる感じですね。それ故、音が作りやすい。変なセッティングにしても潰れたようなサウンドには仕上がらないです。
BASSのつまみは14時でフラットです。12時より上げていくとガンガンローが足していけるのに対し、12時より絞ってもそこまで変化が感じられない。ストッパーがかかったような印象を受けます。これ以上ローをカットするといい音にはならないからこの辺で打ち止めとしますよーみたいな。
MAXにしても籠り切った音にはならないので全然使えますね。
TREBLEのつまみは12時でフラットです。こちらはかなり可変域が広いですね。12時より下げていくと籠った音になっていき、12時より上げていくとハリのあるサウンドに仕上がってくれます。MAXにするとキンキンですね。
TREBLEというよりかはトーンコントロールに近いですね。音全体に作用する感じがします。
総評
音の分離、音圧、音抜け、どれを取っても抜群のトーンになるTS系のオーバードライブペダルですね。
ローノイズで音の曇りもなく、高音質なオーバードライブサウンドになります。ギター本来の鳴り生かすがコンセプトになっていましたが、確かのその通りだと思います。鳴らないギターにこれを使うと露骨に鳴らないギターだなぁというのが出力されてしまう笑
ヘッドルームをHにした時のダイナミクスレンジの広さ、音圧・パワーの強さ、レスポンスの速さ、音抜けの良さが素晴らしいですね。これがTSV808と比較される理由なんだと思います。
ちょっとこれだと音が抜けすぎるなぁと感じる人はMにセッティングして使ってみても良いと思います。
Lのセッティングは正直使うことはないかな。ここまでコンプレッションかかるならわざわざこれを使わずにそういった音の出るペダルを買った方がいいと思いますね。
つまみのコントロールがどれも「これ以上踏み込むと良くならないからストップかけときますよ」と言われてるような感じなんですよね。尖ったセッティングになりようがない。
それ故にほかの人のサウンドレビューの動画見てても良い音しかならないってのがわかるかと思われます。
TSV808と同様、TS系オーバードライブの沼を終わらせられる強烈な1台だと思いますね。おすすめできるオーバードライブペダルです。